今回は脳の右半球の病気により、左側の認識が難しくなる半側空間無視について考えてみます。
半側空間無視について
半側空間無視とは視力の問題とは別に片方の空間の認識ができなくなることです。
主には右側の脳の出血や梗塞によって左側の認識が難しくなることが多く、左半身の麻痺を伴うことも多いです。
判定は模写試験や線分二等分、抹消試験などで左側の見落としがないかを評価します。
一緒に起こりやすい症状
①プッシャー症候群
傾いた体を真っ直ぐにしようとすると、麻痺している方へ押し返す現象です。

②身体失認
体の半分を自分のものとして認識できなくなります。
③着衣失行
衣服を上手く着ることができなくなります。
日常生活での問題
- 食事の際に左側を見落とす。
- 左足を車椅子のフットレストに乗せない。
- 車椅子の左のブレーキをかけ忘れる。
- 移動時に左側の人やものにぶつかる。
- 左の通路を見落とす。
- 更衣では右半分しか着ない。
- トイレではトイレットペーパーや水洗ボタンが左にあると分からない。
- 左からの声掛けに反応しない。
自宅でできるリハビリ
日常生活において
①無視がない側から話しかける

苦手な方向から話をすると脳が疲労しやすくストレスにもなります。
楽な位置で相手と向き合い話に集中できるようにして下さい。
②食事場面での工夫

食器は認識しやすい場所に置きますが、認識しやすい場所においても食器の半分を見落とすことがあります。
食器の数、形状などを把握しやすいものにして食事に集中できるようにします。
自主トレーニング
苦手な方向へ注意を促すことはストレスが強く脳の働きを抑制する可能性があります。
自ら周りに注意が向くようになるため、認識が拡大することよりもまずは注意が持続することを重視します。
①コップを積んだり重ねたりする

認識できる位置で紙コップを連続して重ねます。
紙コップを重ねることができたら、次はピラミッド状に積み重ねていきます。
注意が拡大するに連れてピラミッドが大きくなります。
②書字や模写

認識できる位置で名前などの書字や簡単な図形の模写を行います。
本人の興味があるものの方が持続しやすいのでなるべく本人に選んでもらいましょう。